後悔しないレインウェアの選び方
こんにちは、管理人のかかぴそです。
今回はレインウェアについて書いていこうと思います。マウンテンパーカーと言った方が伝わるでしょうか。
レインウェアを買う時、みなさんは撥水加工と防水加工のどちらを選んでいますか?防水でも、よくわからずGORE-TEXを選んでいませんか?
私も防水ならGORE-TEXと思っていた時期がありましたが、ある時、ほかの防水素材でも十分なのでは?と思い色々と調べました。
もし、レインウェアは欲しいけど値段は抑えたい。という思いがありましたら、ぜひご一読ください。
また、お手入れの方法についても紹介します。特に撥水加工の素材については、何も知らずに洗濯すると、ただの布切れと化す恐れもあるので、ぜひご一読ください。
防水は必須条件ではない
アウトドアの流行が影響してなのか、アパレルブランドのジャケットにも「撥水」や「防水」のような表示をよく見かけるようになりました。(私が気にしてこなかっただけかもしれませんが)
「撥水」や「防水」と言われたとき、どのような印象を抱くでしょうか?
おそらく、「撥水」よりは「防水」の方が優れていると感じるのではないでしょうか。
もちろん、撥水よりも防水の方が優れているのは言うまでもありませんし、登山等をするのであれば防水のウェアを着るべきです。体が濡れると体温を奪われて命に関わりますから。
しかし、数時間で終わるようなハイキングや、傘をさせる普段使いであれば、果たして防水、ましてやGORE-TEXのような高スペックな素材が必要でしょうか。場合によっては撥水でも十分です。それぐらい最近の撥水処理は優れています。
用途を考えないと、無駄にオーバースペックな物を買う可能性があります。もし「撥水」と言うだけで選択肢から除外しているとしたら、損しているかもしれません。
防水と撥水の違いについて
防水と撥水の違いについての情報は多いので、ここではあえて簡単に説明しておきます。他のサイトで見たものの、説明が詳細過ぎて逆に分からなくなったという人は、要点のみ記載するのでこれだけおさえておいてください。
こちらは、GORE-TEXの防水の仕組みともいえるものですが、表生地と裏生地の間に防水効果のあるメンブレンとよばれるフィルターを挟んでいます。GORE-TEXに限らず、防水ウェアは防水素材を使用しています。
少々細かい話になりますが、防水素材を裏生地にした二層だけのものや、画像のように三層のものなど、どのように防水素材を使うかはウェアにより異なります。
そして、撥水加工のウェアは表生地に撥水処理をしているだけなので、このようなフィルターはありません。
極めて簡単な説明ではありますが、次のように言えます。
【防水と撥水の違い】
防水素材:表生地に雨が浸透しても、フィルターがあるからそれ以上は濡れない。
撥水素材:表生地に雨が浸透すると、裏生地まで濡れて、いずれは体が濡れる。
ところで、撥水するのになぜ濡れるのか疑問に思いませんか?撥水加工をしているのに水滴が浸透してくる理由をご説明します。興味ない方は読み飛ばしてください。
撥水は、既に説明した通り表生地に撥水処理をしているのですが、長時間雨に打たれていると、撥水処理の隙間をぬって水滴が浸透してきます。
下に簡単な図を載せてみました。
こちらは、アウトドアブランドのモンベルによる撥水処理の仕組みです。モンベルでは生地の表面の繊維を立たせることによって水滴を受け止めています。それによって、生地に水滴が当たることを防いでいます。
しかし、降りはじめを左側、数分後を右側としたとき、時間経過により、当然生地に接触する水滴は増えていきます。そして、生地に接する水滴が増えれば増える程水圧は高くなります。もちろん、雨の強さや風の強さも影響してきます。
この水滴による圧力(水圧)が一定の力を超えた時、撥水加工された繊維が水滴を支えきれなくなり、水滴が生地に到達します。(右側の状態になります)そして、水滴が生地に接してしまうと、あとは一般的な生地と同様、水滴が浸透し体まで濡れてしまいます。
これが、撥水しているにも関わらず濡れる理由です。撥水素材は、あくまでも生地に水滴が到達しにくいように加工処理されているだけで、水圧が一定値を超えれば濡れます。
ちなみに、防水スプレーとして有名なアメダスはフッ素系樹脂によって繊維をコーティングすることで防水を実現しています。ただし、繊維をコーティングしているだけなので、やはり目には見えませんが、繊維の隙間から内部へ浸透してしまうので、いずれは濡れてしまいます。
その原因は、やはり耐水圧にあります。
どれだけの水圧に耐えられるかというのは、レインウェアで重要となる「耐水圧」と呼ばれるものです。
なぜGORE-TEXを選ぶのか?
防水と言えばGORE-TEX。みなさんそう思っていませんか?
決して間違いとは言いませんし、私も長時間のトレッキングなど、傘をささずに雨の中居続ける環境下に身を置くのであればGORE-TEXを選ぶと思います。
ただ、防水の素材というのは各アウトドアメーカーも自社製品を持っています。それでは、なぜGORE-TEXなのか?それは、私が思うに実績の問題だと思います。信用とも言えるでしょうか。
本当にGORE-TEXである必要があるか?
例えば、コロンビアなどは「オムニテック」という防水素材のレインウェアを発売していて、実用性も抜群です。
GORE-TEXより安いのに、しっかり防水してくれます。
もし値段をおさえたければ、昔ながらのレインコート(雨合羽)だって候補に入れてもいいぐらいです。
安さで言ったらピカ一ですよ。なんたって、コンビニで数百~数千円で買えるんですから。もう少し値段をだしたら、WORKMANやWORKMAN Plusなど、少し性能とファッション性が高いものも買えます。工事現場での実績も考えれば、性能に疑う余地はないでしょう。
ですが、登山などではその辺は着ることはありません。なぜか?
それは、透湿性の問題があるからです。山において濡れることは体温低下に直結するので禁物という話はしましたが、それは汗にも言えることです。
透湿性とどう関係するかですが、(ポンチョタイプを除いて)レインコートは蒸れます。蒸れている状態というのは水分(体温)が外に逃げない状態ですので、当然ながら熱いです。ミストサウナにいるような状況ですね。そして汗をかき、最終的に汗が冷えて寒くなります。
つまり、雨を防げばなんでもいいや。だと、体を冷やさないために雨から身を守っているはずなのに、結果として体温が下がるという矛盾が生じます。
そのため、レインウェアにおいて透湿性というのは無視できない性能です。
しかし、逆に言えば、普段駅から家に着くまでの間であれば蒸れるほどの時間もないのでレインコート(雨合羽)でも十分かもしれません。もしくは、数分の距離なら撥水加工のレインウェアでも十分なくらいです。フィルターがない分、通気性もいいですし、小雨程度であれば撥水処理でも体まで濡れるという事にはなりません。
一方で、雨の日のスポーツ観戦などを想定しているのであれば、やはり防水が必要となるかと思います。
少しずつ撥水と防水の違いは整理できて来たでしょうか?次からは、レインウェアの性能に関する「透湿性」と「耐水圧」について見ていきます。
透湿性と耐水圧の見方
ここまでで、レインウェアには透湿性と耐水圧が重要であることが分かってもらえたと思います。
それでは、自分はどの程度のものが必要なのかを見究めないといけませんね。とは言え、コロンビアやノースフェースは公表していないので実際の製品選びにおいて、参考にならない場面もありますが…
耐水圧について
まず初めに、防水素材の代名詞GORE-TEXを見てみましょう。と言いたいところですが、実はGORE社はGORE-TEXの耐水圧を公表していません。
GORE社は素材の提供をしているだけで、実際に各社がどのように加工するかによって耐水圧は変わってくるため、記載できない。というほうが正しいかもしれません。
YAMA HACKの記事で、GORE社へのインタビュー内容が紹介されていますので引用します。
実はゴアテックス(R)ファブリクスは耐水圧を数値として表示していないんです。雨はどれだけ強くても1,000~1,500㎜くらい。耐水圧20,000㎜以上であれば、多少の数値の違いって、過酷な状況以外では使っていて実感できるレベルではないんですよね。さらに、表地にどんな生地を使うかによっても耐水圧は変わってきます。ゴアテックス(R)ファブリクスに関して言えば「アウトドアの用途に十分耐えられる程度」と思ってくださっていれば大丈夫です。
実は、レインウェアに表示されているGORE-TEX素材のレインウェアの耐水圧は各社で独自に計測したものなんですね。ちなみに、モンベルのHPでは耐水圧50,000mm以上と記載されています。いずれにせよ、十分すぎる性能がある。ということですね。
さて、GORE社のインタビューにより、耐水圧は20,000mm以上あれば十分ということまで分かりました。
そうなると、防水使用のウェアを求める場合でも、GORE-TEXに固執する理由がなくなり、選択の幅が広がるのではないでしょうか。それぐらいの耐水圧であれば、メーカー独自のものでも十分クリアしています。
透湿性について
透湿性については、例えばモンベルでは「5,000~20,000g/㎡・24hrs(JIS L-1099B-1法)」といったような表示がされています。
これはどういうことかというと、24時間で5,000~20,000g/㎡の透湿性があるという意味です。
人はどの程度の発汗量があるのかについて、POCARI SWEATを販売している大塚製薬が指標を出してくれているので紹介します。
通勤:約1時間/約27℃ ⇒ 約200ml(24時間で4,800ml)
入浴:7~10分/約43℃ ⇒ 約400ml(24時間で9,600ml)
剣道:約1時間/約30.4℃ ⇒ 2700g(24時間で64,800g)
※「https://pocarisweat.jp/hydration/sweat-amount/」より引用
さて、どこの値を基準にするか、なかなかに判断の難しいところではありますが、通勤や普段着レベルであれば5,000mlが蒸れない最低レベルと言えそうです。こう見てみると、モンベルの5,000~20,000g/㎡・24hrsという性能は数値の幅が気になる所ではありますが、普段使いとしては問題なさそうです。
ちなみに、透湿性5,000~20,000g/m²・24hrsというのはモンベルの「バーサライトジャケット」という軽量・コンパクトを目的とした製品の性能なのですが、参考までに耐水圧を紹介しますと、20,000mm以上とあります。
こちらはGORE-TEXを使用していないオリジナル素材ですが、ここからも、メーカー独自素材が防水としての基準値をクリアしていることが窺えます。
お手入れ方法
なんてことはありません。柔軟剤を使わないでください。ということだけです。ただし、柔軟剤成分が洗剤に含まれている場合もあるので、そこだけは注意してください。
なので、柔軟剤を含まない中性洗剤で洗って下さい。そうでないと、(少なくともモンベルの)撥水素材は効果が失われてただのパーカーと成り果てる危険性があります。
すべてのメーカーが同じ仕組みを採用しているかはわかりませんが、モンベルの製品について言うと、細かく繊維を立たせることで撥水を実現しています。そのため、柔軟剤などを使うと繊維が柔らかくなって寝てしまい、もはや素材としての撥水効果がなくなってしまうとのことです。(モンベルの店員談)
ハリネズミが針を逆立てている状態が撥水状態で、柔軟剤をつかうと、ぺたんと寝ている状態とでも言えば伝わるでしょうか。
防水と撥水の違いについてのところで書いた図と同じようなものですが、少しでも参考になればと思い、イメージを描いてみました。
柔軟剤を使うと、右の「柔軟剤使用後」のように繊維が寝てしまうので、もはや水滴を支えることができなくなってしまいます。
もちろん、防水(撥水)スプレーを使えば撥水効果は復活しますが、あくまでもスプレーによる効果であり、そこらの綿パーカーに防水スプレーをかけたのと同じであるということだけ覚えておいてください。
参考までに、GORE社が紹介している洗濯方法のリンクを貼っておきます。
https://www.gore-tex.com/jp/support/care/outerwear
まとめ
いかがだったでしょうか。防水と撥水の違いや耐水圧、透湿性について知るだけで、レインウェア(マウンテンパーカー)の選び方の幅が増えたのではないでしょうか。
最後に、いくつか手ごろな値段で手に入るレインウェアを紹介します。
まずは、上下セットのレインウェアです。やはり、傘を差せない状況であったり、台風などの強風の日はズボンまでしっかりと守りたいですよね。
防災等を考慮しても、上下セットのレインウェアが一着あると安心です。
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続いて、防寒性のあるレインウェアをご紹介します。
こちらは、レインウェアに中綿のジャケットを脱着することで3wayの着方ができます。
また、ライナーである中綿ジャケットにはオムニヒートという体温を反射するテクノロジーが使われており、非常に高い保温性を実現しています。
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ここでは紹介しませんが、モンベルのレインウェアもコスパはかなり優れた商品となっています。
もちろんノースフェースでもいいですが、少々値段が気になる方は「モンベル」「コロンビア」あたりを探すと条件に合うものが見つかるかもしれませんよ。
アウトドア用品は、行く場所が変われば求められる性能が変わるので、気候や条件を問わず、この一着が常に最高!というような万能アイテムは存在しません。
ただし、どのような場面・用途で使うのかを明確にして購入すれば、間違いのない快適性を手に入れることができます。決して安い買い物ではありませんが、普段使いとしても重宝すると思いますので、ぜひ自分にぴったりなアイテムを見つけてください。
レインウェア選びの参考になれば幸いです。
管理人 かかぴそより
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